077和歌山を発展させた徳川頼宣の都市計画と文化継承

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 後に8代将軍となった徳川吉宗の影に隠れた印象ですが、その吉宗が尊敬し憧れたのが、紀州徳川家の家祖であり祖父の頼宣です。政治家として非常に優秀だった頼宣は、主産業である米作だけでなく、漆器の黒江塗やミカンの栽培など諸産業を奨励して紀州藩を大藩へと育て上げ、父・家康を祀った紀州東照宮、母・お万の方を弔うための海禅院の多宝塔など、数々の建造物も手掛けました。紀州東照宮は家康の孫・家光が建造した日光東照宮と並ぶ由緒正しい神社で、左甚五郎作の彫刻や狩野探幽の襖絵が社殿を飾り、徳川家ゆかりの太刀や具足など重要文化財指定の美術工芸品も収められています。戦国時代に廃れた文化財の修復にも尽力し、紀三井寺護国院の境内にある三井水は頼宣の手によって古来の姿を取り戻したと伝えられています。また、和歌の浦・雑賀崎の線の北側で大規模な開発を行っていたのに対し、線の南側には手を付けず名勝として残すなど、400年前の日本で景観の重要性と都市計画についても思慮をめぐらせた頼宣は、まさに希有な存在であったといえるでしょう。県内で散見される頼宣の足跡を追いながら和歌山の発展を知る旅はいかがでしょうか。

images紀州東照宮の本殿を目指し、参道を抜けると現れる108の急階段「侍坂(さむらいざか)」。一段上るごとに朱塗りの鮮やかな楼門が迫り、胸が高鳴ります

images日本三美人の湯として名高い龍神温泉。肌をすべすべにする効能は上御殿の内湯でも楽しめます

images建造当時の面影を今も残す上御殿の玄関

images紀州東照宮では本殿を彩る芸術作品に要注目

モデルコース

  • 起点. 阪和道和歌山IC

    車で25分

  • 1. 和歌山城60分地図

    わかやまじょう

    創建は天正13年(1585)、元和5年(1619)の頼宣入城後は紀州徳川家55万5000石の城に。兄である将軍・秀忠より受領した銀2000貫を元手に増築を実施、幕府の西国支配の拠点となりました。弘化3年(1846)の落雷で天守閣は全焼。天守閣再建は禁止の時代に、御三家の家格により再建が許可されました。

    • 城・庭園・公園・温泉等
    住所
    和歌山市一番丁3
    電話番号
    073-435-1044(和歌山城整備企画課)
    営業時間
    天守閣9:00〜17:30(最終入館17:00)※公園内見学自由
    定休日
    年末
    料金
    入場料=410円
    駐車場台数
    P58台

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    車で20分

  • 2. 紀州東照宮40分地図

    きしゅうとうしょうぐう

    父家康の御廟として、元和7年(1621)に頼宣公が創建。108段の階段を上った先、権現造りの本殿には、左甚五郎作と伝わる彫刻や狩野探幽作の壁画が飾られ、徳川家ゆかりの刀剣など美術工芸品も収められています。祭神として「東照大権現」家康公、頼宣公自身も「南龍大神」として祀られています。別名「関西の日光」。

    • 社寺関係
    住所
    和歌山市和歌浦西2-1-20
    電話番号
    073-444-0808
    営業時間
    9:00〜17:00
    定休日
    無休
    料金
    社殿拝観料=300円
    駐車場台数
    P60台

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    車で3分

  • 3. 海禅院多宝塔20分地図

    かいぜんいんたほうとう

    家康の33回忌の際、側室で頼宣の実母であるお万の方が書写した経石を納める石室と、その上に小堂を建てたのが始まりとされます。お万の方の没後は、小堂が多宝塔に改築され拝殿と唐門も設けられました。明治維新後は荒廃しましたが1967年に和歌山市指定の文化財に。多宝塔も1994年から3年をかけ修復されました。

    • 社寺関係
    住所
    和歌山市和歌浦中3-4-28
    営業時間
    見学自由
    定休日
    見学自由
    料金
    見学自由
    駐車場台数
    なし

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    車で2分

  • 4. 和歌の浦カフェマーレライ60分地図

    わかのうらかふぇまーれらい

    芸術文化施設「アートキューブ」2階のカフェ。大きな窓を額縁に見立て、和歌の浦の美しい風景が絵画のように楽しめます。精進料理に使う食材をカフェふうにアレンジしたメニュー(ナチュラルプレート1200円)など。

    • 飲食関係
    住所
    和歌山市和歌浦南3-10-1
    電話番号
    073-418-5888
    営業時間
    10:00〜20:00(LO18:00)※18:00以降は予約のみ
    定休日
    火曜(祝日の場合は営業、翌日水曜休)
    駐車場台数
    P24台(アートキューブ駐車場利用)

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    車で30分

  • 5. 野上八幡宮30分地図

    のがみはちまんぐう

    創建は欽明天皇の時代にさかのぼり、永延元年(987)に石清水八幡宮の別宮に。社殿や財宝の焼失、社領の没収といった災難を経て、弘治3年(1557)真賢上人が再建に着手し、本殿拝殿等を復興。頼宣は内外鳥居を再建し、絵馬額の奉納、石灯籠なども寄進しました。

    • 社寺関係
    住所
    海草郡紀美野町小畑625
    電話番号
    073-489-2162
    営業時間
    境内自由
    定休日
    境内自由
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    P10台

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    車で40分

  • 6. あらぎ島展望所20分地図

    あらぎじまてんぼうしょ

    日本の棚田百選に選ばれ、国の重要文化的景観指定の有田町のシンボル「あらぎ島」を絶好のアングルで眺めることができます。稲の成長とともに棚田は四季折々に変化を見せ冬には棚田一面が雪で真っ白になることも。

    • 絶景
    住所
    有田郡有田川町三田196
    電話番号
    0737-52-2111(有田川町商工観光課)
    営業時間
    見学自由
    定休日
    見学自由
    料金
    見学自由
    駐車場台数
    P10台

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    車で5分

  • 7. 田舎cafeかんじゃ60分地図

    いなかかふぇかんじゃ

    地域の名産品である山椒を使用したメニューが自慢。カレーやパスタのほかスイーツも充実し、甘さの中に爽やかな風味が通り抜ける山椒パウンドケーキ350円は必食。お土産用の山椒味噌や山椒ジャムも販売しています。

    • 飲食関係
    住所
    有田郡有田川町宮川129
    電話番号
    0737-25-1315
    営業時間
    11:00〜17:00
    定休日
    月〜金曜(祝日は営業)
    駐車場台数
    P5台

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    車で1時間30分

  • 8. 上御殿90分地図

    かみごてん

    寛永16年(1639)に紀州藩主の宿として建造され、今もその雰囲気を保ったまま、現在まで運営されています。頼宣が使用した部屋は、現在では「御成りの間」として復元されており、宿泊も可能です。貸し切りの露天風呂からは日高川の絶景を望めます。1999年には国の登録有形文化財に指定されました。

    • 城・庭園・公園・温泉等
    住所
    田辺市龍神村龍神42
    電話番号
    0739-79-0005
    営業時間
    IN14:30/OUT10:00
    定休日
    無休
    料金
    1泊2食付=1万5550円〜(入浴税込み)
    駐車場台数
    P10台

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    車で1時間30分

  • 終点. 阪和道有田IC

秘話

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    秘話 1頼宣の望遠鏡地図

    頼宣は家康から望遠鏡をもらい、和歌山城の櫓から望遠鏡で城外をのぞいては家臣の様子を観察していました。付家老である安藤直次は「主君たるものは家臣らの私的な行動を人知れず見るようなことはするものではない」と、望遠鏡を壊して頼宣を戒めたそうです。

    住所
    和歌山市一番丁3
    電話番号
    073-435-1044(和歌山城整備企画課)
    営業時間
    天守閣9:00〜17:30(最終入館17:00)※公園内見学自由
    定休日
    年末
    料金
    入場料=410円
    駐車場台数
    P58台
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    秘話 2主君を思うがゆえに…古傷が物語る忠義

    付家老を務めていた安藤直次は、頼宣に粗暴な振る舞いがあった際、その豪腕で押さえつけ主君の股に傷跡を作ってしまいました。後年これを治そうとする医師に頼宣は「それには及ばない。今の自分があるのは直次がいさめてくれたおかげ。この傷跡はそれを思い出させてくれるものだ」と語り、自らへの戒めにしたそうです。

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    秘話 3クーデターに利用された頼宣

    3代将軍・家光の死の直後、軍学者である由比正雪による江戸、駿府、大阪、京都の4カ所で同時蜂起するというクーデター計画(慶安の変)が発覚しました。ずさんな計画でしたが、正雪は御三家のひとつである頼宣の名を使い、あたかも頼宣がクーデターに加担していると思わせることで同志を増やしたといわれています。

インスタ
映え

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    インスタ映え 1龍神温泉レリーフ地図

    龍神温泉にたどり着いたなら、元湯の前にある駐車場に注目。「日本三美人の湯」といわれる同地を表すレリーフが観光客を出迎えてくれます。伝統ある宿と温泉を堪能した証に記念撮影。

    住所
    田辺市龍神村龍神37(元湯)
    電話番号
    0739-79-0726
    営業時間
    7:00〜21:00
    定休日
    無休
    料金
    入浴料=大人700円、小人350円
    駐車場台数
    あり

立ち寄り
スポット

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    立ち寄りスポット 1体験交流工房わらし地図

    たいけんこうりゅうこうぼうわらし

    紀州徳川藩の御用紙として製造がはじまった「保田紙」は、最盛期の昭和初期には400余軒の紙漉き屋がありました。現在、その技術を継承しているのがこちら。和紙やワラ細工の製作風景が見学できるほか、紙漉きなどの体験も。

    • 体験
    住所
    有田郡有田川町清水1218−1
    電話番号
    0737-25-0621
    営業時間
    8:30〜17:00(体験受付9:00〜16:00)
    定休日
    水・木曜、祝日、年末年始
    料金
    うちわ体験(約45分)600円、紙漉き体験(約3分)400円、あんどん作り体験(約60分)1000円など ※団体(20名以上)の場合は要予約
    駐車場台数
    あり
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    立ち寄りスポット 2笠松左太夫頌徳碑地図

    かさまつさたゆうしょうとくひ

    江戸時代に大庄屋として活躍した笠松左太夫。私財をなげうち、数多くの灌漑水路を開削。新田開発に取り組んだ功績が讃えられ、建てられた石碑です。小峠地区を紙漉き村として開拓、今も続く保田紙も創始しました。

    • その他
    住所
    有田郡有田川町清水
    電話番号
    0737-52-2111(有田川町役場)
    営業時間
    見学自由
    定休日
    見学自由
    料金
    見学自由
    駐車場台数
    なし
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    立ち寄りスポット 3上湯用水路地図

    うわゆようすいろ

    和歌山県で唯一「日本の棚田百選」に選ばれたあらぎ島へ流れる約 3.2kmの用水路。有田川の支流である湯川川から取水し、現在は約13.5haの範囲を用水しています。笠松左太夫が私財を投じて切り開いた用水路のひとつ。

    • その他
    住所
    有田郡有田川町清水
    電話番号
    0737-52-2111(有田川町役場)
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし
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    立ち寄りスポット 4赤玉地図

    あかだま

    創業60年を超える老舗食堂で、料理には山菜やアマゴ、紀州鴨など地元の季節食材を使用。看板メニューである有田の郷土料理・わさび寿司3個480円〜は、鯖や鮎などをわさびの葉で包み、豊かな風味と食感が楽しめます。

    • 飲食関係
    住所
    有田郡有田川町清水337-7
    電話番号
    0737-25-0371
    営業時間
    11:00〜14:00、17:00〜21:00
    定休日
    第1火曜の夜、水曜(祝日の場合、翌日木曜休)
    駐車場台数
    あり
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    立ち寄りスポット 5しみず温泉 健康館地図

    しみずおんせんけんこうかん

    八角形の屋根を亀甲に組み合わせたユニークな外観が特徴。少しぬめりのある弱アルカリ性のナトリウム塩化物炭酸水素塩泉は、湯上がりの肌がすべすべに。有田川の清流など、湯舟から眺める景観も素晴らしい。

    • 城・庭園・公園・温泉等
    住所
    有田郡有田川町清水1225-1
    電話番号
    0737-25-1126
    営業時間
    11:00〜20:00
    定休日
    無休
    料金
    入浴料=600円
    駐車場台数
    あり
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    立ち寄りスポット 6お食事処 美佐地図

    おしょくじどころ みさ

    1960年創業の食事処。鍋物から本格的な会席料理など豊富なメニューが自慢ですが、一番人気はラーメン650円。鶏ガラの香り立つ滋味深いスープとストレートな麺。食べ飽きない味で、地元の人も絶賛。

    • 飲食関係
    住所
    日高郡美浜町和田1138-124
    電話番号
    0738-22-2783
    営業時間
    11:30〜14:00、16:00〜21:00
    定休日
    火曜
    駐車場台数
    あり

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