熊野詣が原点とされる「四国遍路(辺路)」。『今昔物語』では「海辺ノ廻也」と称されていました。それは熊野の大辺路(おおへち)が海辺をめぐる行者の道として古くから開けていたことを示し、「神武東征神話」や万葉故地、王子跡の存在は歴史の深さを物語っています。現在大辺路の平坦地はほとんど国道や県道などに代わり、かつての古道は峠越えに残っていることから連続したコースを歩くのは容易でありません。しかし自然林に囲まれた尾根道、そして石畳敷が続き太平洋を望む風光明媚な景観はそのまま。近世の文人墨客が愛で、数々の紀行文を記したことからも、この地が中辺路とは異なる趣があることがわかります。大辺路の最初の難所といわれる富田坂は草堂寺の石垣の脇道から。ゆったりとした坂を越え、七曲がりの急坂を上り切り、尾根道になるとウバメガシの巨木が姿を現します。文人墨客が紀行文などにその存在を記した峠の茶屋跡を過ぎ、安居辻松峠へ。そこから急な坂道が続き、林道と合流して、三ヶ川と梵字塔を経て歩くと豊かな水量を湛える日置川沿いの安居の渡し場跡へ至ります。
モデルコース
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起点. JR紀伊富田駅
徒歩で5分
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1. JA紀南Aコープ紀南あぜみち店20分地図
じぇいえーきなんえーこーぷきなんあぜみちてん
農業と地域振興に活動するJA紀南が運営するスーパー。地産地消を目指していることから、道の駅のように地元の農産物がそろっています。この先の道中にはお店がないので、お弁当やお寿司、飲み物などの購入はこちらで。
- 飲食関係
- 住所
- 西牟婁郡白浜町栄691
- 電話番号
- 0739-45-2780
- 営業時間
- 9:00〜19:00
- 定休日
- 元旦休
- 駐車場台数
- あり
徒歩で30分
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2. 草堂寺30分地図
そうどうじ
富田坂の北麓に位置する南昌山草堂寺は、江戸時代に真言宗の円光寺から再興された臨済宗東福寺虎関派の禅寺。円山応挙の高弟で江戸中期の絵師・長沢芦雪が襖絵や屏風絵(県指定重要文化財)を描いたことから「長沢芦雪の寺」とも呼ばれています。熊野曼荼羅33ヶ所霊場の第32番であり、大辺路「富田坂」の登山口にあたります。
- 社寺関係
- 住所
- 西牟婁郡白浜町富田1220-1
- 電話番号
- 0739−45−0004
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P8台
徒歩で10分
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3. 富田坂(一里松跡・馬谷城跡)10分地図
とんだざか(いちりまつあと・うまんたにじょうあと)
草堂寺の石垣脇から続く山道。10分ほど歩くと、一里ごとに松が植えられていた「一里松跡」や「馬谷城跡」があります。上り始めはゆるやかな林道ですが、林道の次には大辺路最初の難所「七曲り」の坂とも呼ばれる九十九折れの急な上り坂が続き、南紀白浜空港方面の景色が広がります。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡白浜町富田
- 電話番号
- なし
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
徒歩で60分
-
4. 峠の茶屋跡5分地図
とうげのちゃやあと
幕末から大正8年(1919)頃まで営業していた峠の茶屋跡。寛文8年(1668)には既に茶屋の記録があり、文化元年(1804)、三宝院門跡に随行した文人画家、横井金谷(きんこく)も『金谷上人御一代記』に「茶屋の壇」に休憩所が特に設けられていることを記しました。旅人はここで休憩し、安居辻松峠へ向かったのでしょう。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡白浜町富田
- 電話番号
- なし
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
徒歩で20分
-
5. 安居辻松峠5分地図
あごつじまつとうげ
白浜町富田と日置川町安居との境界にあたる「安居辻松峠」は、和歌山から23里(92km)にわたる一里塚。名前の由来は道の両側に塚が築かれ、その上に松の木が植えられていたことから。その松の木は昭和18年(1943)の山火事で焼失しました。ここは和歌山から23里の地点となります。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡白浜町安居
- 電話番号
- なし
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
徒歩で50分
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6. 三ヶ川梵字塔5分地図
みかがわぼんじとう
三ヶ川に沿って坂を下ると林道沿いに一基、自然石の石碑、梵字塔が姿を見せます。大日如来や阿弥陀如来など十仏の梵字が刻まれたもので、尾根上にもいくつか祀られています。かつて安居の旧家の邸宅内に建てられていたものだという説や、もとは尾根上にあったものが何度かの移動を経てここに建立されたという説があります。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡白浜町安居
- 電話番号
- なし
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
徒歩で20分
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7. 安居の渡し場30分地図
あごのわたしば
富田坂を下った安居の集落から仏坂へ日置川を渡る「安居の渡し」は、大辺路街道で唯一、舟で渡る熊野古道です。2006年「安居の渡し保存会」によって復活、会員が交代で船頭を務めています。地元の杉でできた乗船手形は旅の記念に(渡し舟を利用する場合は、利用日2日前までにショートメールで予約が必要)。
- 体験
- 住所
- 西牟婁郡白浜町安居
- 電話番号
- 0739-52-2302(白浜町日置川事務所産業建設係)※乗船予約は080-2500-3223(安居の渡し保存会)へショートメールにて希望日の2日前の17時までに要予約
- 営業時間
- 乗船=土日祝9:00〜10:00、13:30〜14:30
- 定休日
- 年末年始、お盆(気象状況などにより運休の場合あり)
- 料金
- 乗船料=500円/人(予約制)
- 駐車場台数
- あり
タクシーで10分、またはコミュニティバス利用
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終点. JR紀伊日置駅
秘話
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秘話 1舟で渡れる熊野古道、安居の渡し地図
今は30mほどの川幅がかつては80mほどもあったという日置川。ここを渡るため昭和の初め頃まで、平田船という木造の川舟が行き来していたそうです。一度は廃止されましたが、「大辺路安居の渡し保存会」が結成され、昔ながらの風情ある渡し舟が復活しています。
- 住所
- 西牟婁郡白浜町安居
- 電話番号
- 0739-52-2302(白浜町日置川事務所産業建設係)※乗船予約は080-2500-3223(安居の渡し保存会)へショートメールにて希望日の2日前の17時までに要予約
- 営業時間
- 乗船=土日祝9:00〜10:00、13:30〜14:30
- 定休日
- 年末年始、お盆(気象状況などにより運休の場合あり)
- 料金
- 乗船料=500円/人(予約制)
- 駐車場台数
- あり
インスタ
映え
立ち寄り
スポット
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立ち寄りスポット 1仏坂地図
ほとけざか
渡し船で日置川を渡り、渡し船の跡地からすさみ町へと続く古道。緑豊かな林に覆われ、石畳道が整備されたルートは往時の歴史を感じながら散策を楽しむことができます。木々の向こうに広がる眺望も見事です。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡白浜町安居
- 電話番号
- 0739-43-6588(白浜町観光課))
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
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立ち寄りスポット 2周参見王子神社 地図
すさみおうじじんじゃ
天照大御神を主神に祀る天文15年(1546)創建の神社。奉納された絵馬は数十点にのぼり、当時の生活の様子が描かれた貴重な内容は見ごたえ十分。神社に隣接する「すさみ町歴史民俗資料館」で展示されています。
- 社寺関係
- 住所
- すさみ町周参見2326
- 電話番号
- 0739-55-4806(すさみ町役場)
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- あり
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立ち寄りスポット 3潜水橋(山王橋)地図
せんすいきょう(さんのうばし)
川の水かさが増すと、水没して見えなくなる潜水橋が富田川には3つ架かっています。そのうちのひとつ、山王橋は欄干がなく、幅が狭いのが特徴。人とすれ違うのもギリギリで、スリル満点の様子はインスタ映え必至!
- 絶景
- 住所
- 西牟婁郡上富田町生馬(富田川)
- 電話番号
- 0739-47-0550(上富田町役場)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- なし