097雲をつかみ百間を一望する、非日常の旅へ

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 熊野古道・中辺路の終点本宮と那智山を結ぶ「大雲取越」への古道は、那智山青岸渡寺の裏手の石段から始まります。続く「小雲取越」と合わせ、このルートは死者の霊魂がたどったという「死出の山路」。幽妖な雰囲気が漂う「舟見峠」から下る八丁坂は「亡者との出会い」と呼ばれ、死に別れた親兄弟、知人が白装束で現れるといいます。熊野を知り尽くした南方熊楠が「ダル」(妖怪)に憑かれたという逸話も頷けます。ここは中辺路随一の難所で、「雲をつかむような」と称されている峠道。舟見峠で熊野灘の眺望を一望した後は石倉峠、越前峠、胴切坂へ。その途中には旅籠跡・茶屋跡を忍ばせる石積みなどが残り興味をそそります。「小雲取越」の道は比較的平坦ですが、道中には「賽の河原」(冥土の三途の川のほとり)もあり熊野が「隠国(こもりく)」、霊魂の籠もる地といわれる所以を感じられるでしょう。熊野古道を歩く難行苦行を通じて「黄泉の国」で生まれ変わり「甦る」こととなるのです。熊野本宮大社へとつながる「請川」に近づき、清流をたたえる熊野川に出会う。生あることに対する感謝の気持ちがあふれ、「死出の山路」は終わりを迎えます。

images三所権現を表す3つの梵字が彫られた「円座石」の巨石の傍らには、石をお祀りする様子もうかがえます。そうした神さびた雰囲気に浸るのも古道を歩く醍醐味

images明治の末まで営まれていた桜茶屋跡。庭先に桜の大木があったことからその名が付いたとされています

images「熊野三所権現」といわれる熊野本宮大社

images果無山脈の山並みを一望できる「百間ぐら」

モデルコース

  • 起点. 那智山バス停

    徒歩5分

  • 1. 熊野那智大社30分地図

    くまのなちたいしゃ

    熊野速玉大社・熊野本宮大社とともに熊野三山のひとつで、多くの人々の信仰を集めてきた熊野那智大社。那智山の標高約330mに位置し、6棟の社殿には夫須美神(ふすみのかみ)を主祭神とする13柱の神様が祀られています。別宮である飛瀧神社の御神体「那智大滝」は日本三大名瀑のひとつ。※2019年3月末まで工事中(予定)

    • 社寺関係
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町那智山1
    電話番号
    0735-55-0321
    営業時間
    参拝可能時間6:00〜16:30(宝物殿は8:00〜16:00)
    定休日
    参拝自由
    料金
    宝物殿拝観料=300円
    駐車場台数
    P30台

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    徒歩ですぐ

  • 2. 那智山青岸渡寺30分地図

    なちさんせいがんとじ

    西国三十三所第一番札所として全国から参拝者が訪れる寺院。如意輪観世音を祀る本堂は、天正18年(1590)に豊臣秀吉が再建したもの。桃山時代の特徴を色濃く残し、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録。本堂後方には朱色の三重の塔が建ち、山の向こうに見える那智の滝との調和が見事です。

    • 社寺関係
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町那智山8
    電話番号
    0735-55-0001
    営業時間
    5:00〜16:00
    定休日
    参拝自由
    料金
    三重の塔入場料大人300円
    駐車場台数
    P20台

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    徒歩ですぐ

  • 3. 見晴亭30分地図

    みはらしてい

    青岸渡寺の境内にある土産・食事処。見晴らしが良く、朱色の三重の塔と那智の滝が望めます。熊野古道のなかでもハードといわれる「大雲取越」の道中には飲食店がないため、こちらで腹ごしらえを。力うどん700円はもちもちの自家製ごま豆腐付き。那智の滝限定パッケージのキャンディ・那智黒375円は行動食にもぴったり。

    • 飲食関係
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町那智山35-2
    電話番号
    0735-55-0610
    営業時間
    9:00〜16:00
    定休日
    不定休
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で2時間

  • 4. 舟見茶屋跡30分(休憩含む)地図

    ふなみちゃやあと

    舟見峠にさしかかる場所にあり、『西国三十三所名所図会』にも登場する茶屋跡。舟見峠は、大雲取越の中で一番標高の高い峠であり、「大雲取越」の本番はここからともいえます。東屋が整備された休憩所からは、左手眼下に熊野灘、右手に妙法山、那智高原、那智勝浦町を一望できます。

    • 絶景
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町口色川
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で1時間20分

  • 5. 地蔵茶屋跡30分(休憩含む)地図

    じぞうちゃやあと

    舗装された林道と合流した場所にある地蔵茶屋。近くに地蔵堂、二棟の休憩所、トイレがあります。休憩所は紀州材を使った山小屋風の建物で、急な登り道の前にひと休みできる格好のスポット。この地蔵茶屋跡から石倉峠は、台風の影響により通行止めになっていましたが、2017年11月からは迂回路を利用し通行可能となっています。

    • 休憩
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で2時間30分

  • 6. 円座石10分地図

    わろうだいし

    3つの梵字が彫られた、幅4m以上の巨石。円座とは藁やいぐさで編んだ丸い敷物をいう方言で神職が用いる座布団を指し、石がそれに似ていることからこの名がつけられました。梵字は熊野三所権現が円形に座って談笑する図が表現され、向かって右から阿弥陀如来(本宮)・薬師如来(速玉)・観音菩薩(那智)といわれています。

    • その他
    住所
    新宮市熊野川町西
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で20分

  • 7. 小口自然の家宿泊地図

    こぐちしぜんのいえ

    旧中学校を利用した宿泊施設。屋外にはグラウンド、テントを張ることができるフリーサイトキャンプ場、野外炊事施設が整備されています。小雲取越の登り口に近く、WiFi利用も可能で、海外から古道歩きを楽しみに訪れる宿泊客も。出発する際にはこちらの食堂で昼食用に弁当(おにぎり)530円と飲み物を購入しましょう。

    • 休憩
    住所
    新宮市熊野川町上長井398
    電話番号
    0735-45-2434
    営業時間
    チェックイン 15:00、チェックアウト9:00
    定休日
    不定休
    料金
    宿泊料=1泊2食付8000円
    駐車場台数
    P50台

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    徒歩で60分

  • 8. 桜茶屋跡10分地図

    さくらちゃやあと

    桜峠の手前に位置する茶屋跡。名前の由来は庭先の桜の大木からといわれ、明治の末まで現存していました。その昔は、見晴らしの良いこの茶屋から白装束の巡礼者を見かけると、茶屋の主人が餅をつき、茶を沸かしてもてなしたといいます。現在は休憩ができる東屋が建ち、石積みなどが残されています。

    • その他
    住所
    新宮市熊野川町上長井
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で45分

  • 9. 石堂茶屋跡10分地図

    いしどうちゃやあと

    東屋の休憩所が建つ石堂茶屋跡。江戸時代は茶屋が2軒あり、近くで砥石となる石が採れたため「石砥茶屋」とも呼ばれていたとか。「吊り天井の仕掛けで旅人を殺害して金品を奪った」「百間ぐらあたりで盗賊に襲わせ崖下に突き落とした」という物騒な話も伝わりますが、繁盛する石堂茶屋に嫉妬した同業者が流した風評だった模様。

    • その他
    住所
    新宮市熊野川町赤木
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で45分

  • 10. 百間ぐら20分地図

    ひゃっけんぐら

    うっそうとした峠道から突然視界が開ける、「小雲取越」一番の景勝地。崖の際に佇むお地蔵さんを目印に、熊野の山々をぐるりと見渡せる絶好の撮影スポットです。夕暮れ時には北西方向に沈む夕日も美しく、雄大なパノラマが見られます。

    • 絶景
    住所
    田辺市本宮町皆瀬川
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で30分

  • 11. 松畑茶屋跡10分地図

    まつはたちゃやあと

    元文4年(1739)の参詣記『熊野めぐり』に「松畑茶屋とて四、五軒も有」と記され、「伊勢路」からの旅人も利用するほど評判だった茶屋の跡。茶屋としては昭和の中頃まで続き、現在も高い石積の二軒の屋敷跡がはっきりと残っています。石垣が残る道の両側には丸太を半分に割ったベンチが置かれ、休憩にも最適。

    • その他
    住所
    田辺市本宮町津荷谷
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

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    徒歩で1時間40分

  • 12. 熊野本宮大社30分地図

    くまのほんぐうたいしゃ

    世界遺産に登録され、全国の「熊野神社」の総本社にあたる熊野三山。古い社殿配置を残す神社で、荘厳な雰囲気を漂わせています。夫須美神・速玉大神の両神、主祭神の家津美御子神、若宮が祀られており、交通安全、大漁満足、家庭円満、夫婦和合、長寿の神として親しまれています。

    • 社寺関係
    住所
    田辺市本宮町本宮1100
    電話番号
    0735-42-0009
    営業時間
    参拝可能時間7:00〜17:00(宝物殿は9:00〜16:00)
    定休日
    参拝自由
    料金
    宝物殿拝観料=300円
    駐車場台数
    境内40台、河川敷600台

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    徒歩ですぐ

  • 終点. 本宮大社前バス停

秘話

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    秘話 1あの南方熊楠にも憑いたという妖怪「ダル」

    熊野の山中で空腹の旅人に憑くという妖怪「ダル」。南方熊楠も「大雲取越」「小雲取越」で憑かれたと書き残しています。憑かれると一歩も動けなくなり、その場に倒れてしまうとか。助かるためには口に何か入れるか、手に「米」という字を書いて舐めればよいそうです。ダルが憑く場所はかつて餓死者が出た場所と伝わります。

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    秘話 2石が積み上げられた熊野の「賽の河原」地図

    熊野詣で亡くなった人の霊を供養するために作られたと伝わる地蔵。三途の川の河原を「賽の河原」といい、幼くして亡くなった子どもはその河原で親の供養のために石を積み上げて塔を作りますが、絶えず鬼に壊されてしまいます。そんな子どもを救うのが地蔵菩薩。積み上げられた石は、この話にちなんでいるのかもしれません。

    住所
    和歌山県新宮市熊野川町赤木
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

インスタ
映え

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    インスタ映え 1お地蔵さんの背景に広がる大パノラマ地図

    坂を上ると小さなお地蔵さんが見えてきます。そのお地蔵さんが立つのは切り立った崖っぷち。背景に広がるのは大塔山景の大パノラマ。「百間ぐら」でお地蔵さんとのツーショットの際には崖に注意を!

    住所
    田辺市本宮町皆瀬川
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし
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    インスタ映え 2梵字入り熊野古道の苔むすモニュメント「円座石」地図

    なだらかな下り坂の左に見えてくる大岩が円座石。びっしりと苔に包まれた巨石が平たい面を見せて佇み、信号のように3つの梵字(梵語[サンスクリット]の表記に用いられた文字)が並んでいます。人物と一緒に撮ったほうが、巨石の大きさがよくわかる。

    住所
    新宮市熊野川町西
    電話番号
    なし
    営業時間
    散策自由
    定休日
    散策自由
    料金
    散策自由
    駐車場台数
    なし

立ち寄り
スポット

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    立ち寄りスポット 1那智高原公園地図

    なちこうげんこうえん

    熊野古道のルート内「大雲取越」から約1km進んだあたりに位置し、周辺散策時の休憩スポットとしても活用できる公園。ここから20分ほど山道を歩くと「妙法山」の富士見台へアプローチすることもできます。

    • 城・庭園・公園・温泉等
    住所
    東牟婁郡那智勝浦町那智山5-6
    電話番号
    0735-52-2131(那智勝浦町観光企画課)
    営業時間
    入園自由
    定休日
    入園自由
    料金
    入園料=無料
    駐車場台数
    あり

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