文豪・夏目漱石は明治44年(1911)8月に自ら希望して、和歌の浦に2日間滞在し、和歌山市で講演を行いました。漱石は社会の在り方や人間の生き方を真摯に探究した思想家としても知られています。この漱石の思想が最もよく語られていると評されるのが、和歌山市で行なわれた「現代日本の開化」という講演。この講演会は、当時の大阪朝日新聞社が関西各地で催したもので、漱石も請われて参加、明石・和歌山・堺の3カ所で行いました。明石での講演の後、8月14日の昼過ぎ、当時和歌の浦にあった「望海楼」という旅館を訪れます。夕方には旅館の裏手にあったエレベーターに乗り、玉津島神社背後の奠供山(てんぐさん)から和歌の浦を一望。その後、紀三井寺へ向かい、高い石段に息を切らしながら夕暮れの和歌の浦湾を眺めたそうです。翌日は新和歌の浦遊園地を見学し、紀州東照宮に立ち寄った後、片男波の砂浜へ。昼過ぎには当時の県議会議事堂(現在の和歌山中央郵便局付近)で講演を行いました。和歌の浦を訪れた際の様子は後に小説『行人』でも描かれ、多くの人の記憶に刻まれました。そんな、数々の傑作を残した明治の文豪、夏目漱石が歩いた和歌山の名所をたどってみましょう。
モデルコース
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起点. 阪和道和歌山IC
車で20分
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1. 紀三井寺30分地図
きみいでら
漱石は231段の石段を息を切らしながら上り、境内にあるベンチに腰を掛け夕暮れの和歌の浦湾を眺めたといいます。紀三井寺は宝亀元年(770)、唐僧・為光(いこう)上人開基の霊刹で清浄水、楊柳水、吉祥水の3つの湧水がある紀州のお寺を意味し、その名が付けられました。境内には徳川治宝(はるとみ)が寄進した多宝塔も。
- 社寺関係
- 住所
- 和歌山市紀三井寺1201
- 電話番号
- 073-444-1002
- 営業時間
- 8:00〜17:00
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 駐車場台数
- P30台
車で10分
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2. 玉津島神社40分地図
たまつしまじんじゃ
漱石が訪れた際、神社背後の奠供山から和歌の浦の景色を一望しました。万葉の地・和歌の浦において和歌の神様を祀る神社として古来より天皇や貴族、歌人たちに崇拝されてきました。境内には山部赤人の万葉歌碑や芭蕉の句碑などが残されています。隣接して安産・子授けの神として信仰を集める鹽竈(しおがま)神社があります。
- 社寺関係
- 住所
- 和歌山市和歌浦中3-4-26
- 電話番号
- 073-444-0472
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P20台
徒歩で10分
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3. 奠供山40分地図
てんぐやま
玉津島神社の背後にそびえる山。明治43年(1910)に旅館「望海楼」によって日本初の屋外用エレベーターが建設され、標高約30mの奠供山に上り、和歌の浦が一望できました。当時の観光用絵ハガキにも数多くその写真が使われています。漱石は小説『行人』の中でもエレベーターに乗った際の様子を描いています。
- 絶景
- 住所
- 和歌山市和歌浦中3-4-26
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- P20台(玉津島神社駐車場利用)
車ですぐ
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4. 和歌の浦カフェ マーレライ60分地図
わかのうら かふぇまーれらい
芸術文化施設「アート・キューブ」2階のカフェ。大きな窓を額縁に見立て、和歌の浦の美しい風景が絵画のように楽しめます。野菜ソムリエの店主が作る心と身体にやさしいメニューをお昼のフルコース1500円などでどうぞ。
- 飲食関係
- 住所
- 和歌山市和歌浦南3-10-1
- 電話番号
- 073-418-5888
- 営業時間
- 10:00〜20:00(LO18:00)※18:00以降は予約のみ
- 定休日
- 火曜(祝日の際は営業、翌水曜休)
- 駐車場台数
- P24台(アート・キューブ駐車場利用)
車で5分
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5. 片男波公園20分地図
かたおなみこうえん
奠供山の頂上からも望める片男波の美しい砂浜。漱石は、和歌山講演の際に片男波へも立ち寄り、小説『行人』の中で「夫(それ)から片男波を見る。稀らしく大きな波が堤を越えてくる。」と述べています。今も夏は海水浴場として多くの人が訪れ、近くには「万葉館」や「健康館」を併設した「片男波公園」があります。
- 城・庭園・公園・温泉等
- 住所
- 和歌山市和歌浦
- 電話番号
- 073-446-5553(和歌公園管理事務所)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
車で5分
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6. 紀州東照宮40分地図
きしゅうとうしょうぐう
参道を過ぎると煩悩と同数の108段の石段、通称=侍坂が現れ、その先に元和7年(1621)、徳川頼宣公が創建した社殿が佇んでいます。「関西の日光」とも呼ばれる権現造りが特徴で、江戸初期の代表的な重要文化財建造物です。漆塗・極彩色の精巧な装飾も見事で、特に左甚五郎作の彫刻や狩野探幽(たんゆう)作の壁画は必見。
- 社寺関係
- 住所
- 和歌山市和歌浦西2-1-20
- 電話番号
- 073-444-0808
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 無休
- 料金
- 参拝自由、社殿拝観料=300円
- 駐車場台数
- P60台
車で15分
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7. 和歌山城40分地図
わかやまじょう
天正13年(1585)に秀吉が弟の秀長に命じて虎伏(とらふす)山に築城したのがはじまりです。今も和歌山市中心部にそびえる天守閣は、腰板張りでしたが徳川治宝によって白亜の天守になりました。和歌山城の近く、現在の和歌山中央郵便局のある場所に、当時、旧和歌山県議会議事堂がありました。
- 城・庭園・公園・温泉等
- 住所
- 和歌山市一番丁3
- 電話番号
- 073-435-1044(和歌山城整備企画課)
- 営業時間
- 天守閣9:00〜17:30(最終入館17:00)※公園内見学自由
- 定休日
- 年末
- 料金
- 入場料=410円
- 駐車場台数
- P58台
車で20分
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8. 旧和歌山県議会議事堂40分地図
きゅうわかやまけんぎかいぎじどう
明治44年(1911)に漱石が「現代日本の開化」と題し講演を行った議事堂。明治31年(1898)に和歌山市一番丁に建築されたもので、昭和37年(1962)に岩出市の根來寺境内に移築されました。2012〜2015年の保存整備事業で、建築当初の姿に復元されています。木造和風意匠の県会議事堂として現存する最古のものであり、国の重要文化財に指定。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 岩出市根来2347-22
- 電話番号
- 0736-61-1160(旧和歌山県議会議事堂事務所)
- 営業時間
- 9:00〜17:00(最終入場16:30)
- 定休日
- 火曜(祝日の場合は営業)、年末年始(12/29〜1/3)
- 料金
- 無料
- 駐車場台数
- P88台(道の駅「ねごろ歴史の丘」駐車場利用)
徒歩ですぐ
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9. 道の駅「ねごろ歴史の丘」40分地図
みちのえきねごろれきしのおか
旧和歌山県議会議事堂隣接の道の駅。岩出産の黒あわび茸など県内の名産品がそろう物販コーナーや飲食施設があり、根來寺のガイダンス施設「ねごろ歴史資料館」も併設しています。2017年12月にリニューアルオープン。
- お土産処
- 住所
- 岩出市根来2020-1
- 電話番号
- 0736-67-8737(花笑み館)
- 営業時間
- 10:00〜18:00(花笑み館)※ほか施設により異なる
- 定休日
- 無休(花笑み館)※ほか施設により異なる
- 駐車場台数
- P88台
車で2分
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終点. 京奈和道岩出根来IC
秘話
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秘話 1和歌山での体験が散りばめられた、小説『行人』
漱石は講演終了後、近くの「風月庵」で催された慰労会に参加。しかし台風接近による風雨が激しくなり、和歌山市内の旅館(本町3丁目付近にあった富士屋旅館)に泊まることに。その夜の体験が、そのまま『行人』にも主人公が兄嫁と過ごす一夜として描かれています。
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秘話 2夏目漱石も利用した、日本初の屋外エレベーター地図
小説『行人』の中で「手摺りの所へ来て隣に見える東洋第一エレベーターと云う看板を眺めていた。此昇降器は普通のように家の下層から上層に通じているのとは違って地面から岩山の頂きまで引き上げる仕掛けであった。」と漱石は描いた。
- 住所
- 和歌山市和歌浦中3-4-26
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- P20台(玉津島神社駐車場利用)
インスタ
映え
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インスタ映え 1和歌の浦の魅力が詰まったキュートなパフェ地図
「和歌の浦カフェ マーレライ」の人気メニュー・和歌の浦パフェ800円は和歌の浦の穏やかな風景をイメージして作ったかわいらしいパフェ。店内には、記念撮影におすすめなアート作品「天使になれる壁画」も。
- 住所
- 和歌山市和歌浦南3-10-1
- 電話番号
- 073-418-5888
- 営業時間
- 10:00〜20:00(LO18:00)※18:00以降は予約のみ
- 定休日
- 火曜(祝日の際は営業、翌水曜休)
- 駐車場台数
- P24台(アート・キューブ駐車場利用)