江戸後期を代表する絵師・円山応挙。その門下のなかでも異彩を放つのが、長沢芦雪(ろせつ)です。京を拠点とした絵師でしたが、天明6年(1786)に10ヵ月ほど南紀に滞在、数々の力作を残しています。きっかけは大津波により全壊した串本町の無量寺の再建でした。住職が懇意にしていた応挙に襖絵を依頼しましたが、高齢の応挙は名代として芦雪を派遣します。当時芦雪は33歳、兄弟子たちを飛び越えた異例の抜擢でした。応挙から預かった障壁画を届けた芦雪は、自らも無量寺や成就寺などで筆を執り270点余りもの作品を描き上げましたが、注目すべきは南紀に残る作品の自由奔放な画風。応挙の元で培った写生重視の表現とは異なる、大胆で独創的な構図、筆遣いです。串本の雄大な自然の中で芦雪は才能を開花させたのでしょう。その大胆奇抜な発想は、今日では伊藤若冲や曽我蕭白(しょうはく)と並び 「奇想の画家」と称されています。現在作品のほとんどは和歌山県立博物館で保管されていますが、無量寺境内の串本応挙芦雪館で「虎図」「龍図」などが鑑賞できるほか、徳泉寺でも水墨画を1点所蔵。芦雪の才能を目覚めさせた地の空気を感じながら、その足跡をめぐってはいかがでしょう。
モデルコース
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起点. 阪和道南紀田辺IC
車で7分
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1. 高山寺30分地図
こうざんじ
聖徳太子の草創で、弘法大師により中興された古刹。芦雪は短期間の高山寺滞在時に、「寒山拾得図」など数点の作品を描き上げました。当時の住職が芦雪の経歴や滞在を記録(県指定文化財)、これほど詳細に芦雪について語られた書物はほかにありません。これらは和歌山県立博物館に保管され、企画展などで鑑賞できます。
- 社寺関係
- 住所
- 田辺市稲成町392
- 電話番号
- 0739-22-0274
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P30台
紀勢道経由で車で1時間10分
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2. 松寿司60分地図
まつすし
串本生まれ串本育ちのご主人が握る、天然の地魚にこだわる寿司店。すぐそばの漁港から直接仕入れるネタは新鮮そのもので、地元の漁師が太鼓判を押すのも納得。上にぎり8貫2160円、昼はサービスでお椀がつきます。
- 飲食関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町串本1735-91
- 電話番号
- 0735-62-0728
- 営業時間
- 11:30〜14:00(LO13:30)、17:00〜21:00(LO20:30)
- 定休日
- 不定休
- 駐車場台数
- P4台(少し離れた場所にP5台)
車で5分
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3. 串本応挙芦雪館(無量寺)60分地図
くしもとおうきょろせつかんむりょうじ
芦雪が南紀を訪れるきっかけとなった、臨済宗東福寺派の別格寺院の無量寺。芦雪の代表作とされる「虎図」「龍図」など多数の作品を所蔵するほか、境内の串本応挙芦雪館では室町、桃山、江戸時代の絵画を公開しています。
- 社寺関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町串本833
- 電話番号
- 0735-62-6670(串本応挙芦雪館)
- 営業時間
- 「串本応挙芦雪館」9:30〜16:30(最終入館16:00)
- 定休日
- 不定休(施設公式サイト参照)
- 料金
- 串本応挙芦雪館収蔵庫入館料=1300円(本堂拝観不可)
- 駐車場台数
- P10台
車で10分
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4. nagi40分地図
なぎ
くしもと大橋を渡った紀伊大島で営むベーカリー。木造の素朴な店内には、できる限り国産小麦を使って焼きあげるパンがずらり。カフェでいただけるピザも評判です。パン・ダマンド205円、クロワッサン183円など。
- 飲食関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町大島1158
- 電話番号
- 0735-65-0065
- 営業時間
- 9:00〜18:00
- 定休日
- 月・火曜(祝日の場合は営業)
- 駐車場台数
- P4台
車で15分
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5. 橋杭岩20分地図
はしぐいいわ
大小40もの岩が海岸線から沖に向かって一直線に並ぶ名勝で、国の天然記念物に指定。橋を支える杭だけが残ったような様子から、橋杭岩と名付けられました。弘法大師がかけようとした橋の名残だという伝承もあります。
- 絶景
- 住所
- 東牟婁郡串本町橋杭
- 電話番号
- 0735-62-3171 (南紀串本観光協会)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- P60台
車で15分
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6. 徳泉寺20分地図
とくせんじ
鬮野川(くじのかわ)の山間に佇む臨済宗妙心寺派の寺。芦雪作とされる水墨画を代々受け継いできましたが、芦雪真筆のものだと判明したのは2014年のこと。三国志の人物を描いた「関羽図」は、従者の生き生きとした表情に芦雪らしさを感じます。通常は公開していませんが、事前に連絡を入れ都合が合えば見学できることも。
- 社寺関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町鬮野川214
- 電話番号
- 0735-62-3473
- 営業時間
- 事前に要連絡
- 定休日
- 事前に要連絡
- 料金
- 拝観料=無料
- 駐車場台数
- P5台
車で25分
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7. 成就寺20分地図
じょうじゅじ
京都東福寺虎関派の海蔵院を本山とする寺院。芦雪が南紀歴訪の際に最初に訪れた寺として伝わり、45面もの襖絵を所蔵しています。鋭い観察眼がうかがえる「群雀図」や、濃墨の画法が印象的な「唐獅子図」、大胆な構図に芦雪の優れた感覚がみられる「林和靖図」など名筆も多数(すべて和歌山県立博物館保管)。
- 社寺関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町西向396
- 電話番号
- 0735-72-0754
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P3台
車で50分
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終点. 紀勢道すさみ南IC
秘話
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秘話 1応挙の言葉から生まれた芦雪のシンボルマーク
修業に励む冬の朝、芦雪は氷の中に閉じ込められた魚を見かけました。その後氷が溶け自由に泳ぐ魚の姿に驚き応挙に話したところ「苦しい修業時代も氷が溶けるが如く画の自由を得る」と諭され、それ以来氷の枠に入った「魚」印を印章としたそう。ちなみに後年の印章は枠の一部が欠落しており、自由を得たと伝えているとの見方も。
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秘話 2芦雪に筆の自由を与えた“禅の心”
師である円山応挙にならい、写生を重視した親しみやすい画風であった芦雪は、南紀に赴いてからは数々の奔放な作品を描きました。その変化のきっかけは、無量寺をはじめとする南紀の禅寺であったと考えられています。禅寺で「禅の心」に触れる事で、決まり事に縛られない個性あふれる大画面作品が生まれたのかもしれません。
インスタ
映え
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インスタ映え 1本州最南端を走る、爽快ドライブコース地図
芦雪が訪れた串本町は本州最南端の地。海岸沿いの国道42号線を走れば、どこまでも続く太平洋の絶景が目の前に。海風を感じながらのんびりドライブして、芦雪も眺めたであろう景色に想いを馳せてみては。
- 住所
- 東牟婁郡串本町
- 電話番号
- 0735-62-3171 (南紀串本観光協会)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- 無し
立ち寄り
スポット
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立ち寄りスポット 1公方通り地図
くぼうどおり
いくつかの店が今なお営業中のレトロな商店街内にある通り。かつて徳川14代将軍・家茂が同地を訪れたことからこの名前がつきました。なまこ壁の蔵や立派なお屋敷が残る一角もあり、往時の息吹を感じさせてくれます。
- その他
- 住所
- 東牟婁郡串本町串本地区
- 電話番号
- 0735-62-0557(串本町役場産業課)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
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立ち寄りスポット 2菓子 潮ざき地図
かし しおざき
1978年創業の老舗菓子店。自然派の国産&地元食材を使った銘菓が多く、手焼きした焼き皮に、自家製半小豆こし餡を包んだ名物の串本銘菓、立岩巻は1個140円。茶の湯菓かわけむりは5枚入り378円です。
- 飲食関係
- 住所
- 東牟婁郡串本町串本40-35
- 電話番号
- 0735- 62-5288
- 営業時間
- 8:00〜18:00(日曜は〜17:00)
- 定休日
- 火曜(祝日などは除く)
- 駐車場台数
- あり
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立ち寄りスポット 3トルコ記念館地図
とるこきねんかん
エルトゥールル号の模型や事故の記録、映画『海難1890』の小道具などを展示する記念館。館内やテラスからはエルトゥールル号が座礁した「船甲羅」を間近に望むことができます。2015年にリニューアル。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 東牟婁郡串本町樫野1025-25
- 電話番号
- 0735-65-0628
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 無休
- 料金
- 入館料=500円
- 駐車場台数
- あり
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立ち寄りスポット 4樫野埼灯台地図
かしのざきとうだい
「日本の灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンが日本で最初に設計、明治3年(1870)に初点灯した石造灯台。かつて灯台守の執務室や旧官舎もブラントンの設計で、日本最古の石造りの歴史的建造物。
- 絶景
- 住所
- 東牟婁郡串本町樫野1006-1
- 電話番号
- 0735-65-8515
- 営業時間
- 灯台は散策自由(内部非公開)、旧官舎は9:00〜17:00
- 定休日
- 灯台は散策自由(内部非公開)、旧官舎は土・日曜、祝日、11月1日、年末年始のみ開館
- 料金
- 旧官舎入館料=100円
- 駐車場台数
- あり