7世紀中頃から8世紀中頃にかけて詠まれた、日本に現存する最古の和歌集『万葉集』。全20巻の中には天皇、宮人、僧侶、貴族、農民等による歌が約4500首収められ、そのうち紀伊国に関するものが100余首も詠まれています。その多くが奈良や飛鳥の都から紀伊国を訪れる行幸の際のお供をした人々や、または公務で訪れた役人によるもので、旅の途中に見た景色や故郷に残した妻、旅を続ける夫への想いなどを詠んだものが残っています。天皇や貴族が紀伊国を訪れたのは、古墳時代から紀ノ川平野一帯に強い勢力を持っていた豪族・紀氏を従わせるためという政治的な理由がある一方、暖かく海の風景がある紀伊国に憧れを抱いていたため外遊の地として選んだとも考えられます。国境となる真土山(まつちやま)、妹背山(妹山・背山)を越え、悠々と流れる紀ノ川に沿って南海道を西へ。そして生まれてはじめて見る海が広がる賀太(加太)へ。一行はここから南に進路を変え、海沿いを紀の湯(白浜温泉)へと向いました。このコースでは、大和国を出て加太にたどり着くまでを紹介。点在する歌碑にも足を止めながら、彼らが愛でた景色に想いをめぐらせる旅に出かけましょう。
モデルコース
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起点. 京奈和道橋本東IC
車で3分
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1. 飛び越え石25分地図
とびこえいし
和歌山と奈良の県境を流れる落合川の両岸からせりだす2つの大きな岩石。間を小川が流れ、そこを渡ればもう奈良県。万葉の旅人は国境越えを目前にし、故郷に残してきた恋人や家族を想いこの石を越えたといいます。「白たへに にほふ真土の 山川に 我が馬なづむ 家恋ふらしも」から、旅人の心情がうかがえます。
- その他
- 住所
- 橋本市隅田町真土
- 電話番号
- 0736-33-3552 (はしもと広域観光案内所)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- P10台
徒歩ですぐ
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2. 真土山10分地図
まつちやま
飛び越え石のある落合川が流れる標高100mほどの山。都があった大和国と紀伊国との国境であることから、万葉人の異国への憧れや夫を待つ妻の想い、郷里へ帰る途中のはやる気持ちなど万葉集には8首が詠まれています。「真土山夕越え行きて廬前(いほさき)の角田河原にひとりかも寝む」と旅の不安を詠ったものも残っています。
- その他
- 住所
- 橋本市隅田町真土
- 電話番号
- 0736-33-3552 (はしもと広域観光案内所)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- P10台
車で30分
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3. 道の駅 紀の川万葉の里60分地図
みちのえき きのかわまんようのさと
地元産の野菜や果物、加工品を販売。食事処・まほろばでは柿の葉寿司がいただけます。写真はそば(柿の葉寿司付き)820円。目前に広がる雄大な紀の川、船岡山、妹山、背山を望む景色を楽しんで。
- 飲食関係
- 住所
- 伊都郡かつらぎ町窪487-2
- 電話番号
- 0736-22-0055、レストラン0736-22-0151
- 営業時間
- 8:30〜18:00(11〜2月は〜17:00)、レストラン10:00〜18:00(11〜2月は〜17:00)
- 定休日
- 年末年始
- 駐車場台数
- P67台
徒歩ですぐ
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4. 妹山・背山30分地図
いもやま・せのやま
紀ノ川北岸のフタコブラクダの背のような山。万葉時代には夫婦・恋人を「妹」「背」と呼んだことから都に家族を残す旅人が関心を寄せ、「妹(いも)に恋ひ我が越え行けば背の山の妹に恋ひずてあるがともしさ」など15首もの歌が詠まれました。万葉集で山を題材とした歌では2番目の数。背山の対岸の山を妹山とする説も。
- その他
- 住所
- 伊都郡かつらぎ町背ノ山
- 電話番号
- 0736-22-0300(かつらぎ町産業観光課)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
車で25分
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5. 紀伊国分寺跡60分地図
きいこくぶんじあと
聖武天皇の勅願で、全国60カ所に建立された国分寺のひとつ。現在は史跡公園として、江戸時代に建てられ保存修理された本堂や当時の原型を残す七重塔跡の礎石が残ります。寺域や伽藍配置が明確で、南海道諸国との類似性がわかる貴重な遺跡。南側にある「紀の川市歴史民俗資料館」で出土遺跡を所蔵、国分寺の歴史を学べます。
- 社寺関係
- 住所
- 紀の川市東国分671
- 電話番号
- 0736-77-0090(紀の川市立歴史民俗資料館)
- 営業時間
- 散策自由(資料館は9:00〜16:00)
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- P11台
車で10分
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6. ローランドホリデー30分地図
ろーらんどほりでー
旧国道24号沿いで50年近く店を構え、地元で愛され続ける喫茶店。喫茶メニューだけでなく、麺もスープも自家製のラーメンなど食事メニューも豊富にそろいます。コーヒー400円、手づくりシフォンケーキ100円。
- 休憩
- 住所
- 紀の川市打田1478-2
- 電話番号
- 0736-77-2045
- 営業時間
- 7:00〜18:00
- 定休日
- 不定休
- 駐車場台数
- P14台
車で30分
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7. 府守神社(聖天宮)30分地図
ふもりじんじゃ(せいてんぐう)
貞観17年(875)、紀伊国府の守護神として鬼門にあたる北東に鎮座したと伝わる神社。倭武命(やまとたけるのみこと)を御祭神とし、紀伊国総社とも。国府跡に関しては他説もあるが、境内には「紀伊國府跡」の石碑が。
- 社寺関係
- 住所
- 和歌山市府中1089
- 電話番号
- 073-461-6494
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
車で35分
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8. 加太15分地図
かだ
かつては、南海道の紀伊国内の終着点で、淡路・四国への渡し場があった加太。「藻刈り舟沖漕ぎ来らし妹が島形見の浦に鶴翔る見ゆ」と、四方を山に囲まれた土地に住む万葉人が、初めて見る海への感動を詠んだ歌など5首が残ります。高台にある役行者堂からは、加太の町並みや加太港、友ヶ島が一望できます。
- その他
- 住所
- 和歌山市加太
- 電話番号
- 073-435-1234(和歌山市観光課)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
車で35分
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終点. 阪和道和歌山北IC
秘話
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秘話 1紀伊国の歌も多く残る『万葉集』
『万葉集』は奈良のイメージが強いですが、天皇・貴族・農民などが詠んだ約4500首の歌のうち、和歌山・紀伊国に関係のある歌が100余首も残っています。これらは、大和国から紀伊国への行幸の際のものを中心に、その他訪れた人たちの歌であり、7世紀後半から8世紀、人々が足繁く紀伊国に通った証しといえるでしょう。
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秘話 2本当の妹山はどこ?諸説ある妹山の位置地図
『日本書紀』にも登場し、地図にも表記される背山。一方、妹山の場所は諸説があります。①背山の二峰のうちのいずれか、②対岸の山という説のほか、③背山と並んでそびえる山、④背山の対として詠われただけでそもそも存在しないといった説まで。山を目前にどの説が真実か考えるのも、旅の楽しみのひとつかもしれません。
- 住所
- 伊都郡かつらぎ町背ノ山
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
インスタ
映え
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インスタ映え 1万葉歌人の愛した風景に触れる!地図
紀の川沿いにある「紀の川万葉の里公園」の風景。太陽の光と山と大地の緑、目の前を流れる紀の川のせせらぎ…。まさに景勝地と呼ぶにふさわしいスポットです。
- 住所
- 伊都郡かつらぎ町窪487-2
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- あり
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インスタ映え 2レトロな風景に出合える港町地図
加太湾のほど近く、潮の香り漂う川沿いに建つレンガ造りの蔵。大正12年(1923)建築の元醤油店の蔵で、今もはっきりと「丸治」の商標が残されています。凝った装飾にも注目!
- 住所
- 和歌山市加太
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- なし
立ち寄り
スポット
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立ち寄りスポット 1春栄堂地図
しゅんえいどう
昭和元年(1926)創業の老舗菓子店。洋菓子を始めた3代目が作るシューパリ1個151円は20年来のロングセラー。発酵バターが薫る固めの皮にたっぷり詰めた特製クリームは、濃厚ながらも口当たりが軽くペロリと食べられます。
- お土産処
- 住所
- 和歌山市和歌浦中1-5-13
- 電話番号
- 073-444-0571
- 営業時間
- 8:00〜19:00
- 定休日
- 日曜休
- 駐車場台数
- あり