新宮市は熊野速玉大社の門前町として古くから栄え、さらには杉や檜など熊野材の集散地としても繁栄しました。最盛期には江戸への入荷材の約2割を占めたというほど林業の恩恵を受けました。この地を治めた紀州藩付家老の水野氏は江戸定府の付家老であったため、江戸と深い関わりを持つようになり、海と山に囲まれた豊かな土壌の上に、他所からもたらされた文化が成熟したことで、多くの文人墨客を輩出することになりました。『秋刀魚の歌』や『望郷五月歌』などで知られる佐藤春夫、「鳩ぽっぽ」など多くの童謡を手掛けた東くめ、『岬』で第74回芥川賞受賞の中上健次など、個性的な表現者を多く生み出してきました。文学の香りを感じながら、ゆかりの地をのんびり散策する道中には、外国映画のような佇まいが目を引く西村伊作記念館へも足を運びたいところ。設計したのは日本人の生活近代化を推進したモダニスト・西村伊作。館内に設置された家具のデザインも、100年前のものとは思えない斬新さです。表現者たる彼らの、新しいものを追及するエネルギーは、一体どこから湧いてきたのか。新宮城跡からの雄大な熊野灘や、文化薫る新宮のまちを眺めれば謎がとけるかもしれません。
モデルコース
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起点. JR新宮駅
徒歩ですぐ
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1. 東くめ『鳩ぽっぽ』歌碑10分地図
ひがしくめはとぽっぽかひ
明治10年(1877)新宮で生まれた東くめは、後輩である滝廉太郎とのコンビで「お正月」や「雪やこんこ」などおなじみの童謡を手がけた作詞家。もとは音楽教師でしたが、幼児教育の先駆者だった夫の東基吉の影響で、童謡を手がけるようになったそう。代表作のひとつ、「鳩ぽっぽ」の歌碑は、新宮駅前広場にあります。
- その他
- 住所
- 新宮市徐福2-1-1
- 電話番号
- 0735-22-2840(新宮市観光協会)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- なし
徒歩で5分
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2. 旧西村家住宅(西村伊作記念館)40分地図
きゅうにしむらけじゅうたく(にしむらいさくきねんかん)
大正3年(1914)に西村伊作が建てた自邸。当時の日本人の住宅にはなかった家族団らんのための居間や食堂を備え、現代の住宅の原型ともされています。ボイラー設備など快適に暮らすため西村の工夫が詰まった室内には、彼がデザインした家具が当時のままに置かれ、絵画・陶器・著書などの作品も展示されています。国指定重要文化財。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 新宮市丹鶴1-2-14
- 電話番号
- 0735-22-6570
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
- 料金
- 入館料=大人220円、小中学生110円
- 駐車場台数
- あり
徒歩で10分
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3. 新宮(丹鶴)城跡60分地図
しんぐう(たんかく)じょうあと
紀州藩付家老水野氏の居城として寛永10年(1633)に完成。元々は源為義の娘、丹鶴(たんかく)姫の建てた東仙寺があったともされています。城跡からは熊野川を一望。熊野川に面した水ノ手郭には港の跡が残り、当時の技術の粋を結集した石垣にも新宮の繁栄がうかがえます。江戸千家流の祖・川上不白を顕彰した石碑も。国史跡指定。
- 城・庭園・公園・温泉等
- 住所
- 新宮市丹鶴3丁目7691-1
- 電話番号
- 0735-22-2840(新宮市観光協会)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- 15台
徒歩すぐ
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4. 中上健次資料収集室20分地図
なかがみけんじしりょうしゅうしゅうしつ
新宮に生まれ、熊野を舞台とする名作を数多く残した中上健次に関する原稿や書簡、書籍、写真、音源、映像などの貴重な資料を収集・保存しており、直筆原稿のレプリカなどを閲覧できます。中上の生誕の地や墓地、小説の舞台となった新宮市内のスポットなどを紹介する「中上健次文学地図」の配布も行っています。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 新宮市下本町2-2-1 丹鶴ホール
- 電話番号
- 050-7000-8244(中上健次資料収集室) 0735-22-2284(新宮市立図書館)
- 営業時間
- 9:00〜17:30 日曜9:00〜16:30※要予約
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌平日)、祝日の翌平日、年末年始(12/29〜1/3)、図書館整理日
- 料金
- 入館料=無料
- 駐車場台数
- あり
徒歩で10分
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5. 鹿六60分地図
しかろく
佐藤春夫らを魅了してきた、一世紀以上続く鰻料理店。国産鰻を背開きし、備長炭で地焼きした鰻は、身ふっくらで皮パリパリ。辛口のタレは、創業以来の継ぎ足しで味を守っています。
- 飲食関係
- 住所
- 新宮市元鍛治町2-3-5
- 電話番号
- 0735-22-2035
- 営業時間
- 11:00〜14:00、17:00〜20:30(LO20:00)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)、お正月・土用の丑・お盆前後は不定休あり
- 駐車場台数
- あり
徒歩で5分
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6. 佐藤春夫記念館60分地図
さとうはるおきねんかん
佐藤春夫が昭和2年(1927)に建てたこだわりの邸宅を、東京から故郷の新宮に移築し記念館として公開しています。建物は西村伊作の弟が設計した洋館で、応接間やサンルームなどに佐藤のモダンな暮らしぶりがうかがえます。書斎の公開だけでなく、自作詩歌の書、佐藤が描いた絵画、初版本など貴重な資料を展示しています。
※令和6年4月より移転工事のため休館中。- 美術館・博物館等
徒歩で5分
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7. 本廣寺20分地図
ほんこうじ
戦国末期まで熊野で勢力を誇った土豪、周防守行栄(すおうのかみゆきひで)の屋敷跡といわれる古刹。境内の「書写妙法蓮華経印塔」は、新宮水野家の家臣の家に生まれた、茶人の川上不白が先祖供養のため寛政9年(1797)に建立。法華経を一文字ずつ記した69384個の小石がその下に埋められています。
- 社寺関係
- 住所
- 新宮市新宮656
- 電話番号
- 0735-22-2801
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- 16台
徒歩で10分
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8. 仲氷店30分地図
なかこおりてん
古座川の銘水を72時間かけ凍らせた高純度の氷をふんわり削ったかき氷は、頭にキーンとこないと評判。シロップは自家製で、清見オレンジや古座川の柚子、北山のじゃばらなど地元の素材も使用しています。
- 休憩
- 住所
- 新宮市新宮551-12
- 電話番号
- 0735-21-5300
- 営業時間
- 8:00〜18:00※季節により変動あり
- 定休日
- 無休
- 駐車場台数
- 8台
徒歩で10分
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終点. JR新宮駅
秘話
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秘話 1和菓子の町、新宮
江戸時代に活躍した茶道家で、江戸千家流の祖である川上不白は、茶に添えて出す菓子の文化を新宮に根づかせました。新宮は不白の出身地ということもあり、「利休の再来」と謳われた茶人ゆかりの地に和菓子店が多いのも納得。毎年、不白を偲ぶ茶会も催されています。
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秘話 3佐藤春夫、十年越しの恋地図
佐藤春夫は谷崎潤一郎夫人・千代に恋心を抱き、一度は潤一郎が千代を譲るというも翻意、一時絶交します。その後潤一郎と千代が離婚し、春男は千代と結婚しましたが、その際の3名連名の挨拶状が「佐藤春夫記念館」に展示されています。
※令和6年4月より移転工事のため休館中。
インスタ
映え
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インスタ映え 1精巧!新宮城のジオラマ地図
新宮城跡近くのレストラン「イル・ド・フランス」のシェフ、倉本隆之さんが古地図や文献などをもとに、江戸中期の姿を500分の1で再現。構想10年、製作2年の力作! お食事がてら見学を(展示期間は問い合わせを)。
- 住所
- 新宮市新宮7697
- 電話番号
- 0735-22-2365
- 営業時間
- 11:30〜13:30、17:30〜20:00
- 定休日
- 不定休
- 駐車場台数
- なし
立ち寄り
スポット
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立ち寄りスポット 1畑中武夫の碑地図
はたなかたけおのひ
新宮高校の正面玄関前に設置されている畑中武夫氏の功績を讃える碑。天体物理学の世界的権威であり、月のクレーターに自身の名前を残す畑中氏は、田辺市に生まれ新宮市で育った地元の名士です。
- その他
- 住所
- 新宮市神倉3-2-39
- 電話番号
- 0735-22-2840(新宮市観光協会)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- なし