041小説『有田川』の舞台。有吉佐和子が描いた近代

  • 有田

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 1970年代の代表作『恍惚の人』や『複合汚染』などで社会派と呼ばれる小説家、有吉佐和子。『有田川』は、佐和子が32歳の頃の作品『紀ノ川』や『日高川』と並ぶ「川もの」と呼ばれるシリーズのひとつで、激動の近代に生きる女性の姿をたゆまず流れる川の様子に重ね合わせて描くことで多くの女性から支持を集めました。物語は、明治22年(1889)の紀和水害(十津川大水害)で流され孤児となった主人公の千代が、有田川の洪水に何度も暮らしを奪われながらも、みかん作りなどをしながら川がもたらす自然の恵を心の支えに力強く生きていく様子が描かれています。和歌山出身の佐和子が県内で過ごしたのは、幼少期と戦時中に疎開したわずかな期間だけですが、当時忌避されていた方言(紀州弁)が飛び交う作品を発表していることから、故郷に深く関心を寄せていたことが読み取れます。また、作品中に登場する浄念寺やみかん栽培農家などの描写は、緻密な取材に基づいており、フィクションながらまるで千代が本当に生きた記録のようでもあります。そんな物語に登場する要所を訪ね、千代を自身に重ね合わせた旅はいかがでしょう。

images中将姫の寺として知られる得生寺。境内には桜やツツジが植えられ、季節により美しい景観が楽しめます。二十五菩薩が練り歩く中将姫会式は、県の無形文化財

images境内まで約100段の石段が続く須佐神社。千田祭では、急な石段を神輿が駆け下りる様も見どころ

images実際に大勢の命を救った、浄念寺の柏槇

images得生寺周辺を詠んだ歌は万葉集にも残る

モデルコース

  • 起点. 阪和道有田IC

    車で10分

  • 1. 須佐神社30分地図

    すさじんじゃ

    和銅6年(713)創建。小説『有田川』で千代が生涯の伴侶となる貫太と参詣を約束した場所で、「嫁を取るなら糸我の会式、婿が欲しけりゃ千田祭、と謳われている、あの千田祭りである」と書かれる、毎年10月14日の例大祭で有名。祭典終了後、浜で神前に供えた鯛を櫓の上から投げ落とし、参加者が奪い合う様子は圧巻です。

    • 社寺関係
    住所
    有田市千田1641
    電話番号
    0737-83-0195
    営業時間
    8:00〜16:00
    定休日
    境内自由
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    P5台

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    車で10分

  • 2. 得生寺30分地図

    とくしょうじ

    藤原豊成の娘、中将姫(ちゅうじょうひめ)を殺害するよう命じられた伊藤春時が姫の徳に心打たれ殺害できず、名を得生と改めたのが寺の由来といわれます。作中に何度も登場し、千代の運命を大きく左右するなど、物語の要所となる場所。中将姫の命日にちなみ、毎年5月14日に行われる来迎会式が有名です。

    住所
    有田市糸我町中番229
    電話番号
    0737-88-7110
    営業時間
    9:00〜17:00
    定休日
    境内自由
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    P16台

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    車で5分

  • 3. 早和果樹園 本社店20分地図

    そうわかじゅえん ほんしゃてん

    みかんの栽培や加工品販売で人気の早和果樹園内のショップ。ジュースやゼリーなどが揃い、なかでも光センサーで選別された高級みかんをしぼった糖度12度以上の100%ストレートジュース、味一しぼり200ml450円〜が評判です。

    • お土産処
    住所
    有田市宮原町新町275-1
    電話番号
    0120-043-052
    営業時間
    10:00〜17:00
    定休日
    不定休
    駐車場台数
    駐車スペースあり

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    車で5分

  • 4. 浄念寺30分地図

    じょうねんじ

    「浄念寺さんの人助け柏槇ちゅうんよ。あれが浄念寺さんの本堂よ。あこの頭だけ出してんのが太子堂やしよ」と紹介され、作中で千代の命を救った「人助け柏槇(びゃくしん)」で知られます。実際に今も残っており、昭和28年(1953)の大水害ではこの柏槇につかまって助かった人もいたそうです。

    • 社寺関係
    住所
    有田市宮原町滝川原451
    電話番号
    0737-88-7420
    営業時間
    境内自由
    定休日
    閉門の場合あり
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    駐車スペースあり

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    車で10分

  • 5. マルキ食堂60分地図

    まるきしょくどう

    大正13年(1924)創業。和食から洋食までメニュー豊富、自家製の温かみある味で愛されます。地元の太刀魚を使ったたちうお丼740円が評判。ほか松前寿司1350円、小鯛寿司450円など寿司はテイクアウトもできます。

    • 飲食関係
    住所
    有田市箕島897-1
    電話番号
    0737-82-2256
    営業時間
    11:00〜17:00
    定休日
    木曜
    駐車場台数
    P5台

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    徒歩ですぐ

  • 6. 箕島駅10分地図

    みのしまえき

    国鉄紀勢西線が開通した大正13年(1924)に誕生、当初は終着駅でした。現在も駅舎は開業当時のもの。物語では南海からまっすぐ南下する予定だった路線を千代の夫となった貫太が命懸けで県庁に訴え、箕島駅が開業したことになっています。

    • その他
    住所
    有田市箕島893
    電話番号
    0570-00-2486(JR西日本お客様センター)
    営業時間
    5:15〜22:00(みどりの窓口)
    駐車場台数
    なし

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    車で10分

  • 7. Fields R20分地図

    ふぃーるずあーる

    国産小麦や本和香糖など素材にこだわるパンが好評。塩パン120円やコーヒークリームパン160円など、人気のパンは売り切れることも多く、電話で取り置きを。オーダーを受けてから作るサンドイッチもおすすめ。

    • お土産処
    住所
    有田市初島町里340
    電話番号
    0737-20-1794
    営業時間
    土曜10:00〜17:00
    定休日
    土曜のみ営業
    駐車場台数
    P5台

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    車で20分

  • 終点. 阪和道下津IC

秘話

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    秘話 1光り輝く菩薩面が並ぶ美しい行列は必見地図

    毎年5月14日に行われる得生寺の中将姫会式は、5歳〜12歳の25名が菩薩の面や袈裟を身に着けて、豪華な姿で練り歩く様子が圧巻。これは中将姫が29歳で入滅するとき、25菩薩が浄土へと迎えに来た様子を再現したものです。

    住所
    有田市糸我町中番229
    電話番号
    0737-88-7110
    営業時間
    9:00〜17:00頃
    定休日
    境内自由
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    あり
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    秘話 2資料を基に書いた豪快な鯛投げ神事地図

    小説内で千代と義妹が見に行った須佐神社の千田祭。界隈でいちばんにぎわう例大祭で、クライマックスは子どもが櫓から鯛を投げ、大人たちが奪い合います。有吉佐和子自身は祭を見たことがなく、旧友の女性からの資料を基にして書き上げたとのことです。

    住所
    有田市千田1641
    電話番号
    0737-83-0195
    営業時間
    8:00〜16:00頃
    定休日
    境内自由
    料金
    境内自由
    駐車場台数
    5台

インスタ
映え

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    インスタ映え 1橋のたもとにそびえ立つ巨大な太刀魚タワー

    有田大橋の南側のたもとに建つ、太刀魚漁獲量日本一の有田市らしい、太刀魚のシンボルタワー。約4mのタワーは「タッチー」と名付けられ、キラキラ輝く姿は、写真のインパクトも抜群。

立ち寄り
スポット

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    立ち寄りスポット 1まごころの味 しんまち地図

    まごころのあじ しんまち

    有田のおいしいものを、“まごごろ”を込めて提供するお店。天ぷらの盛り合わせ1512円〜をはじめ、全国丼グランプリで4年連続金賞を受賞した、太刀魚のさつま揚げ「ほねく」を使った、たっちょほねく丼648円を提供。

    • 飲食関係
    住所
    有田市宮原町新町148-2
    電話番号
    0737-88-5543
    営業時間
    17:00〜23:00(LO22:00)
    定休日
    月曜
    駐車場台数
    あり

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