人並み外れた記憶力に、およそ10カ国に通じる語学力。自然科学・分野のみならず、民俗学や民族学、宗教学など多くの分野で大きな功績を遺した「知の巨人」といえば、和歌山県出身の南方熊楠です。若い頃から海外へと飛び出し、アメリカやイギリスで知見を広めた彼は、明治37年(1904)に田辺に移住。後半生の37年間を、植物の宝庫といわれたこの地で過ごします。田辺に来た当初、彼は仲間たちと連日のように飲み歩いていたそうです。状況を見かねた友人・喜多幅武三郎は、闘雞神社の宮司・田村宗造の四女を熊楠に紹介。これが後に妻となる松枝で、熊楠は松枝との間に一男一女をもうけました。特に娘の文枝は、松枝とともに晩年の熊楠を助け、植物採集や『菌類図譜』の作製などを手伝ったとされています。また神社合祀の反対活動を行うなど、現在の自然保護活動の先駆者としても知られる熊楠。実はこの活動の背景にも、彼に共鳴した多くの田辺の人びとの助力があったことを忘れてはなりません。熊楠が駆け回ったフィールドをめぐり、彼自身や彼を支えた人々について知識を深めてみれば、偉大な「知の巨人」が実は我々と同じ等身大の人間であったことに、きっと思い至るはずです。
モデルコース
-
起点. 紀勢道南紀白浜IC
車で20分
-
1. 南方熊楠記念館60分地図
みなかたくまぐすきねんかん
生涯にわたり膨大な書き物を残した熊楠。その写本や草稿、身の回りの品から、収集していた菌類の標本などが展示されています。館内には生きた変形菌(粘菌)も展示され、顕微鏡を覗いて実際に見ることもできます。また、屋上からは熊楠が昭和天皇をお出迎えした神島を遠望できます。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 西牟婁郡白浜町3601-1
- 電話番号
- 0739-42-2872
- 営業時間
- 9:00~17:00(最終入館16:30)
- 定休日
- 木曜、6/28~30休、年末年始休
- 料金
- 600円
- 駐車場台数
- P30台
車で5分
-
2. 熊野三所神社20分地図
くまのさんしょじんじゃ
熊野三所(本宮・速玉・那智)を祀る神社。白良浜の海沿いに位置し、拝殿の背後には「御船山」が社叢として広がります。海・山・森が近く、熊楠は白浜滞在の際は、頻繁に変形菌(粘菌)・藻類の採集に訪れたといいます。
- 社寺関係
- 住所
- 西牟婁郡白浜町744
- 電話番号
- 0739-43-0558
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P10台
車で30分
-
3. 田中神社30分地図
たなかじんじゃ
熊野古道・中辺路沿いにあり、神社を包み込む鎮守の森が目印。全体を覆う藤を熊楠は「オカフジ」と命名しました。神社合祀の機運の中で、大正4年(1915)に八上神社に合祀されるも、熊楠の「合祀されても神林だけは残して」との助言通り氏子たちがこれを保全。森は昭和31年(1956)に県の天然記念物第1号として指定されました。
- その他
- 住所
- 西牟婁郡上富田町岡403
- 電話番号
- 0739-34-2370(上富田町総務政策課)
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- なし
車で15分
-
4. シームーン60分地図
しーむーん
田辺で30年以上の歴史を誇る老舗イタリアン。実力派の濱中正信シェフが厨房で腕を振います。自家製パンにサラダも付くパスタランチAセット1300円は、4種類のパスタから選べます。
- 飲食関係
- 住所
- 田辺市東山1-5-9
- 電話番号
- 0739-22-8001
- 営業時間
- 11:30〜14:00(LO)、17:30〜21:00
- 定休日
- 木曜、第3水曜
- 駐車場台数
- P5台
車で5分
-
5. 闘雞神社30分地図
とうけいじんじゃ
熊野信仰の一翼を担う、熊野三山の別宮です。熊楠は神社宮司の田村宗造の四女・松枝と結婚。社殿背後の仮庵(かりお)山をクラガリ山と呼び、密林が広がるこの山を「熊野植物研究の中心基礎点」に据えました。山中の老楠が伐採された際に熊楠が猛烈な抗議をし、それ以上の伐採は中止されたという記録が残されています。
- 社寺関係
- 住所
- 田辺市東陽1-1
- 電話番号
- 0739-22-0155
- 営業時間
- 社務所8:30〜17:30
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P100台
車で5分
-
6. 南方熊楠旧邸・南方熊楠顕彰館60分地図
みなかたくまぐすきゅうてい・みなかたくまぐすけんしょうかん
熊楠が晩年に25年間にわたって過ごした旧邸は、国の登録有形文化財として保存されています。この庭で新属新種の変形菌(粘菌)を発見するなど、熊楠にとっては居住・研究のための大切な空間でした。2006年には隣接地に南方熊楠顕彰館が開館。熊楠に関わる25000点以上の資料を保存する熊楠研究と情報発信の拠点です。
- 美術館・博物館等
- 住所
- 田辺市中屋敷町36
- 電話番号
- 0739-26-9909
- 営業時間
- 10:00〜17:00(最終入館16:30)
- 定休日
- 月曜、第2・4火曜、祝日の翌日
- 料金
- 入館料=無料(熊楠旧邸は観覧料350円)
- 駐車場台数
- P12台
車ですぐ
-
7. ララ・ロカレ20分地図
らら・ろかれ
元警察署の洋館で、国産小麦と天然海洋酵母で作るパンを販売しています。熊楠の大好物にちなんで作られた「くまぐすあんぱん」は全6種。紀州梅餡、コーヒー餡など味も多彩で、見た目もかわいい。1個162円。
- お土産処
- 住所
- 田辺市上屋敷2-6-7
- 電話番号
- 0739-34-2146
- 営業時間
- 9:00〜17:30
- 定休日
- 火曜
- 駐車場台数
- P21台
車で10分
-
8. 高山寺15分地図
こうざんじ
田辺市内を一望する高台に佇む寺院。熊楠はかつて「糸田の猿神社(さるがみのやしろ)」の境内で新種のアオウツボホコリのほか、多くの変形菌を採集しましたが、明治政府が進めた神社合祀政策により明治41年(1908)に神社林は伐採されました。この事件は、彼が神社合祀反対運動を行うきっかけのひとつとなりました。
- 社寺関係
- 住所
- 田辺市稲成町392
- 電話番号
- 0739-22-0274
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- P30台
車で10分
-
終点. 阪和道南紀田辺IC
秘話
-
秘話 1熊野三所神社の「御座船」地図
生物学者でもあった昭和天皇は、変形菌(粘菌)などの観察のため田辺湾に来訪。熊楠は御召艦長門(ながと)の船上で約25分間、変形菌をはじめ動植物について進講し、変形菌の標本110種などを献上しました。陛下が神島や、四双島、塔島などをめぐられたという木製の船は、「御座船」として白浜温泉の熊野三所神社に納められています。
- 住所
- 西牟婁郡白浜町744
- 電話番号
- 0739-43-0558
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 料金
- 境内自由
- 駐車場台数
- あり
-
秘話 2熊楠も好んだ、辻の餅の「おけし餅」地図
1個97円。白い餅の上に粒餡がのり、その見た目が江戸時代の子どもの髪型「お芥子(けし)頭」に似ていることからこの名が付きました。餅専門店ならではの弾力のある餅に上品な甘さの粒餡がマッチ。熊楠もこの餅をまとめて買って帰り、近所の子どもたちに配っていたのだとか。
- 住所
- 田辺市北新町1
- 電話番号
- 0739-22-1665
- 営業時間
- 8:30〜17:00(売り切れ次第終了)
- 定休日
- 火曜不定休(祝日の場合は営業)
- 駐車場台数
- P5台
-
秘話 3南方熊楠とお酒
熊楠の父は酒蔵「世界一統」の創業者である南方弥兵衛(のちに弥右衛門に改名)。そのためか元々酒が大好きだったという熊楠ですが、ある時から一切酒を飲まなくなりました。その理由は諸説ありますが、中には、親友・孫文からの大切な手紙を酔っぱらって騙し取られたからというものもあります。
インスタ
映え
-
インスタ映え 1天神崎の「ウユニ塩湖」のような光景地図
田辺湾の北側に突き出た岬で、国内のナショナルトラスト運動の先駆となった場所としても知られます。平らな岩礁は干満潮時に水につかり、タイミングが良ければ南米・ボリビアのウユニ塩湖のような写真が撮れることも。
- 住所
- 田辺市天神崎
- 電話番号
- 0739-26-9929(田辺市観光振興課)
- 営業時間
- 見学自由
- 定休日
- 見学自由
- 料金
- 見学自由
- 駐車場台数
- なし
立ち寄り
スポット
-
立ち寄りスポット 1神楽神社地図
かぐらじんじゃ
江戸時代の社名は大梵天王社。例祭は11月23日で渡御祭は第3日曜に行います。当宿から神楽獅子の先祓いで子供神輿3基、大榊、絹笠など約100名の行列で約2時間、氏子町内を練り歩き祓い清め廻ります。また、珍種の藻を発見した碑も。
- 社寺関係
- 住所
- 田辺市神子浜2-16-9
- 電話番号
- 0739-22-0155(闘鶏神社)
- 営業時間
- 境内自由
- 定休日
- 境内自由
- 駐車場台数
- あり
-
立ち寄りスポット 2田辺城跡地図
たなべじょうせき
「錦水城(きんすいじょう)」とも呼ばれた田辺城。明治4年(1871)に廃城となり、その城郭跡には南方熊楠が松枝と結婚式を挙げた錦水館という旅館が建っていました。現在は水門など城の一部が残る公園になっています。
- 城・庭園・公園・温泉等
- 住所
- 田辺市上屋敷三丁目
- 電話番号
- 0739-26-9929(田辺市観光振興課)
- 営業時間
- 散策自由
- 定休日
- 散策自由
- 料金
- 散策自由
- 駐車場台数
- あり
-
-
立ち寄りスポット 4たな梅本店地図
たなうめ ほんてん
古くから紀州田辺の名産品として知られてきた蒲鉾・なんば焼。四角い形状で中心部になんばきび色の焼き色が付けられているのが特徴です。エソ、グチなどを原料にしていて、歯ごたえも風味も抜群。1枚1393円(箱入り)。
- お土産処
- 住所
- 田辺市福路町39
- 電話番号
- 0739-22-5204
- 営業時間
- 8:30〜17:30
- 定休日
- 無休
- 駐車場台数
- あり
-
立ち寄りスポット 5辻の餅地図
つじのもち
江戸時代の子どもの「おけし頭」に似ていることから名づけられた「おけし餅」は、遠方から買いに来る人も多いという人気商品。甘すぎない餡といつまでも口に留めたいやわらかさの餅が愛され続ける秘訣のようです。
- お土産処
- 住所
- 田辺市北新町1
- 電話番号
- 0739-22-1665
- 営業時間
- 8:30〜17:00
- 定休日
- 火曜(不定休あり)
- 駐車場台数
- あり
-
立ち寄りスポット 6鈴屋菓子店地図
すずやかしてん
大正末期創業で、梅や柑橘類など地産品を使った銘菓が好評。レモンケーキ5個1026円も田辺の名産・レモンをモチーフとした定番の品。レモン風味のカステラがレモンチョコレートでコーティングされています。
- 住所
- 田辺市湊15-11
- 電話番号
- 0739-22-0436
- 営業時間
- 8:00〜18:00
- 定休日
- 無休
- 駐車場台数
- なし